首都機能移転シンポジウム (概要版)

1999年09月11日 ふるさと会館いが

主催:三重・畿央地域首都機能移転連絡会議(三重県・滋賀県・京都府・奈良県)

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三重・畿央に首都機能を!フォーラム
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三重・畿央地域首都機能移転推進総決起大会

平成11年9月11日、三重県伊賀町のふるさと会館いがで、「首都機能移転シンポジウム〜三重・畿央地域から考えましょう〜」が、4府県共同の主催で開かれた。

最初に主催者を代表して三重県の上田副知事が、これまでの4府県の取り組みを説明した。

続いて、国会等移転審議会の委員でもある、中村英夫武蔵野工業大学教授の、「首都機能移転の現状と課題」と題する基調講演が行われた。

中村氏は首都機能移転の必要性について、神戸の地震を例に、政治・行政・経済・文化の集中した東京が被災した場合の、災害対応力の強化のために。司馬遼太郎が「遷都のたびに日本は良くなっている」と発言したのにふれ、人心の一新のために。東京一極集中の流れを止めるために、首都機能移転が必要と説明した。

次に、オーストラリアやブラジル、ドイツなどの外国の首都機能移転の例を説明した。また、アメリカやオランダなど、経済の中心と首都とは分かれていることを説明した。

続いて、首都機能移転でつくられる新都市について説明。首都機能のすべてが移るわけではなく、皇居などは移転しない。新都市はクラスター型の都市であり、大きさは9000haと信楽町の半分くらいの面積に最大60万人で、例としてシンガポールを挙げた。文化的で環境と調和し、最先端の技術を用いて、日本の首都にふさわしい風格のある都市になる。移転費用の公的資金は4兆円であり、民間投資はその倍くらいであるが、1年あたりで使う税金は2〜3千億円で、日本の公共事業費のわずか0.5%であるが、費用対効果は非常に大きいと説明した。

首都機能移転先の条件について、東京から100〜300kmであり、地形がなだらかで、火山・洪水・渇水・環境破壊などの災害が少なく、景観が良く、全国や海外からの交通が便利で、母都市から適当な距離にあり、土地の取得が容易な場所であることと説明した。

最終候補地の選定については、絶対に公正・公明で分かりやすくする必要があると強調した。選定は総合評価で行い、16項目の評価項目に専門委員が点数を付け、19人の委員が重み付けをして決める。評価で盛り込まれなかった項目については、審議会委員でディスカッションをして決めていく。そして、東京との比較や、東京に及ぼす影響を考えてから、国会で移転が決まることを説明した。

最後に、発表と同時に土地投機の抑制が必要と説明した。地震については、日本であればどこでも起こることであるが、新首都は都市計画がしっかりしており、建物も最新技術を使って建てられるので、大地震でも壊れることはないと説明した。

休憩を挟み、「首都機能移転の意義と三重・畿央地域について」と題したパネルディスカッションが行われた。

最初にコーディネーターの平本一雄三菱総合研究所取締役が、首都機能移転の意義について、国政の改革のため、東京一極集中の是正のため、災害危険性への対応のため、東京を改造して良い都市にするためと説明。先進国で首都にすべてが集まっているのはめずらしく、首都に集中しているのは途上国が多いと説明した。

石森秀三国立民族学博物館教授は、首都機能移転について長らく懐疑的に考えてきた。しかし、今年になって、日本の力が弱くなってきているが21世紀は万全なのかを考えたときに、首都機能移転が必要である。こんな日本にしたのは、政官財の癒着で、今の首都であると述べた。

金森茂一郎関西経営者協会顧問は、畿央地域の成り立ちについて、自分と前原弁護士が最初に提唱し、勉強会を重ね、国会議員や行政に取り上げられたものであり、他の地域と違って市民から出てきたものであることを説明した。首都機能移転は、特に危機管理と、日本のアイデンティティーの復活のために必要と述べた。

紙野桂人帝塚山大学教授は、ここ10年で世界は大きく変わっているが、東京は今のままではアジアの代表都市になれない。アジアの中心として、世界の政治協議の場としての都が必要と述べた。

佐々木俊一日本経済新聞社大阪本社代表室企画委員は、地方分権を進めるために、首都機能移転が必要と述べた。現在は一極集中型であり、今の地方分権の流れは一極地方分権であり、これでは不十分で、多極地方分権型に変える必要があると説明した。

平本氏はベルリンに行ったときのことを説明し、ドイツの新国会議事堂はオープンで一般市民が自由に入れること、ベルリンは世界の建築デザインの展示場のようになっていること、首都機能の一部はボンに残ることなどを説明した。

石森氏は首都機能移転に求めるものとして、これまでは東京でよかったが、これからはマルチの国家デザインを考える必要があると述べた。

現在の首都機能移転は一括移転とされていることについて、佐々木氏は、ドイツではボンに残るものとベルリンに移転するものがあり、互いに出張所が置かれ、不都合があれば変えていくことになっていることを説明した。

金森氏は、まずは国会と行政機能の半分が移転し、東京には日本の経済首都に関する機能が残るのではないかとの考えを述べた。また、司法機能の改革が必要とし、新首都には司法機能も求められると述べた。

紙野氏は、首都機能都市とその住宅都市がクラスター上に置かれ、合理的でコンパクトでなクラスターをうまく繋げる必要があると説明した。

コーディネーターの平本氏は、北東地域には自然が豊かなイメージ、東海地域には先進産業のイメージ、三重・畿央地域には歴史と日本文化のアイデンティティーのイメージがあると説明し、三重・畿央地域に何ができるのかをパネラーに尋ねた。

佐々木氏は、三重・畿央地域は文化的なインパクトがあり、国土の中央であると説明。広域連携を例に挙げて、ソフト面でのプロジェクトを考える必要があると述べた。

金森氏は、東京は膨張を続けていて、北東地域は自然に東京と一体化されることになるので、北東への移転はナンセンスであると説明。畿央地域は中部と近畿を結ぶキーとなる場所であって、東京と対抗できる場所であり、相互に発展していくことができると述べた。

石森氏は、新首都は21世紀の日本の顔であり、観光機能が求められる。新首都は観光首都、文化首都でならなければならず、アジア太平洋の文化首都でもあり、博物館も必要だと述べた。

会場からの質問で、国民が首都機能移転に興味がないのはマスコミの報道に工夫が足りないのではないかとの質問に対し、佐々木氏は、記事が少なく、記者の反応もいまいちである。目先のことに目が奪われていると説明した。

最後に平本氏が、21世紀に入るにあたり、日本を築き直すためにも首都機能移転が必要であるとまとめた。


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