総合評価に異議あり

2000年01月23日

by OUTSIDE

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総合評価の詳細が公表され、納得できない点が多々ありますが...

東京の過密の緩和

東京に近いところに移転すると、新都市に引っ越ししないで東京から通勤する人が出てきて、一極集中の是正どころか、東京と新都市の間で新たな集中が生じることが審議会の中でも指摘されています。また、北東地域は東京に何かと影響されていて、特に南部は完全に東京圏です。

それにもかかわらず、地域間の点数の差がきわめて小さく、最高と最低の点差が1.5点しかありません。もっと差を付けるべきです。

  宮城 栃木
福島
福島 栃木 茨城 岐阜
愛知
静岡
愛知
三重
畿央
三重 畿央
審議会の評価 3.0 3.0 3.0 3.0 2.5 3.5 3.5 4.0 4.0 4.0
私の評価

新しい情報ネットワークへの対応容易性

情報化時代は、新しい情報ネットワークで、都市であっても地方であってもどこでも情報をやりとりできるようになると考えられています。そんな情報ネットワークに点差など付けることが出来るのでしょうか?

どうしても点差を付けなければならない場合、「つくば」や「けいはんな」などの学研都市との関係や、地域の境にあり複数の地域通信会社の競争を促すことができるかなども評価に加えるべきです。

  宮城 栃木
福島
福島 栃木 茨城 岐阜
愛知
静岡
愛知
三重
畿央
三重 畿央
審議会の評価 3.0 2.3 2.3 2.3 3.0 4.3 4.3 2.3 2.3 2.3
私の評価

文化形成の方向

文庫本「首都は名古屋で決まりだぎゃあ!」に載っている、国会等移転審議会の97年10月の報告の「人口動態に見る現在の生活文化圏」によると、移転先候補地各県と関係が深い都道府県として、次のように書かれています。

審議会の評価では栃木県が最も点数が高くなっていますが、上記のように、東京と関係の深い北東地域に移転したところで、新しい文化の形成など期待できるのでしょうか?まして、東京のテレビ局の放送区域内である栃木や茨城では、新しい独自文化が生まれるとは甚だ考えにくいです。

また、京都や奈良に近く、「東西文化の境界線上」に位置する三重・畿央地域の点数が異常に低くなっているのはどういう訳なのでしょうか?

加えて、福島(2.9)+栃木(3.4)=3.3点なのに対して、三重(2.4)+畿央(2.4)=2.3点になるのは、どんな計算をしているのか不思議でなりません。

最後に、文化的特性に係る検討でのアンケート結果を書いておきます。

情報が東京一辺倒でなく東京指向でなくなるのは?

  宮城 栃木
福島
福島 栃木 茨城 岐阜
愛知
静岡
愛知
三重
畿央
三重 畿央
審議会の評価 2.9 3.3 2.9 3.4 2.4 3.0 2.8 2.3 2.4 2.4

外国とのアクセス容易性

この評価から察するに、成田空港または中部新空港までのアクセス時間で単純に評価しているだけのように思えます。

国際便の就航が期待できない空港を外したことには敬意を表します。

しかし、この評価では、利用可能な国際ハブ空港の数や、就航便数が考慮されていないように思います。三重畿央地域は、中部新空港と関西空港の2つの国際ハブ空港が利用できますから、そのことも評価に加えるべきです。

  宮城 栃木
福島
福島 栃木 茨城 岐阜
愛知
静岡
愛知
三重
畿央
三重 畿央
審議会の評価 2.2 2.5 2.1 2.5 3.7 4.4 4.2 3.8 5.0 3.8
私の評価

全国からのアクセス容易性

最高と最低の点差が1.7点しかなく、差が小さすぎます。北東地域の点数が低くなりすぎないように、点差を調整したように思えてなりません。

  宮城 栃木
福島
福島 栃木 茨城 岐阜
愛知
静岡
愛知
三重
畿央
三重 畿央
審議会の評価 3.4 3.9 3.3 3.9 3.6 4.7 5.0 4.3 4.3 4.3
私の評価

景観の魅力

景観に魅力について、栃木那須地域が1番で、静岡愛知地域の点数が低いのは納得できません。主観である景観の美しさに、点数を付けることなどできるのでしょうか?

静岡愛知地域の浜名湖畔のすばらしい景観だけが5点満点で、その他の地域は横一線の点数にするのが妥当ではないかと思います。

景観の評価に、周辺の観光地の存在を含める場合、京都・奈良・伊勢志摩に近い三重畿央地域の点数がもっとも高くなり、世界遺産の白川郷や日光に近い岐阜や栃木の評価も高くなるはずです。

  宮城 栃木
福島
福島 栃木 茨城 岐阜
愛知
静岡
愛知
三重
畿央
三重 畿央
審議会の評価 2.5 5.0 2.5 5.0 2.0 3.0 4.0 3.0 3.5 3.0
私の評価
〃(世界遺産を考慮)

地震災害に対する安全性

この点数は、はっきり申し上げて無茶苦茶です。

7月2日の新聞報道による審議会の地震災害に関する評価結果では、

  海溝型地震 内陸活断層 津波
宮城 全域が震度5強以下の可能性が高い 全域で震度6以上にならない可能性が高い 県南沿岸部で6m程度の可能性
福島 全域が震度4以下の可能性が高い 全域で震度6以上にならない可能性が高い 海岸域がない
栃木 全域が震度5弱以下の可能性が高い 全域で震度6以上にならない可能性が高い 海岸域がない
茨城 全域が震度5強以下の可能性が高い 全域で震度6以上にならない可能性が高い 海岸域がない
岐阜 一部が震度6弱の可能性。想定東海地震の地震防災対策強化地域 全域で震度6以上にならない可能性が高い 海岸域がない
愛知 一部が震度6弱〜7の可能性。想定東海地震の地震防災対策強化地域 全域で震度6以上にならない可能性が高い 遠州灘沿岸で6〜7m程度の可能性
静岡 多くが震度7のになる可能性。想定東海地震の地震防災対策強化地域 中央部を中心に震度6弱〜6強、一部で震度7の可能性 駿河湾から遠州灘にかけて6〜7m程度の可能性
三重 全域が震度6弱〜6強の可能性、沿岸部ほど震度が大きい 全域で震度6以上にならない可能性が高い 伊勢湾岸で2〜4m程度の可能性
畿央 全域が震度5以上の可能性、南部に震度6弱の可能性 全域で震度6以上にならない可能性が高い 海岸域がない

また、総合評価の評価基準では、

  海溝型地震 内陸活断層
5点 震度6以上の地域が出現する可能性が低い 顕著な活断層は発見されていない
4点 顕著な活断層が発見されている
3点 部分的に震度6〜震度7の地域が出現する可能性 顕著な活断層は発見されていない
2点 顕著な活断層が発見されている
1点 多くの地域で震度7の地域が出現する可能性が高い 評価に関係なし

このように、海溝型地震だけを重視し、阪神大震災や関東大震災の原因となった内陸型活断層の危険性を軽視した評価基準になっています。

海溝型地震の評価基準については、震度の区切りが少なすぎますし、実際に新都市がつくられるクラスターの場所の震度に関係なく、広い調査対象地域の隅っこの地域で大きな震度になる可能性があるだけで、全体が低い評価になるような評価基準となっています。

内陸活断層についても、その活断層の活動周期のことがまったく考慮されていません。また、現在活断層が発見されているかだけで評価しており、調査不足で見つかっていない活断層の可能性については評価されていません。

  宮城 栃木
福島
福島 栃木 茨城 岐阜
愛知
静岡
愛知
三重
畿央
三重 畿央
審議会の評価 4.0 4.0 5.0 4.0 5.0 2.0 1.0 2.0 2.0 2.0
私の評価(海溝)
私の評価(内陸)
私の評価(総合) 3.0 3.5 4.5 3.5 3.5 2.5 1.0 3.0 2.5 3.0

環境負荷の低減の可能性

残念ながら、これまで何度も訴えてきた、風力発電の可能性がまったく考慮されていないようです。これからの自然エネルギーとして、太陽光発電は基本的にどこでも出来ますが、風力発電の行える場所は限られているのです。

  宮城 栃木
福島
福島 栃木 茨城 岐阜
愛知
静岡
愛知
三重
畿央
三重 畿央
審議会の評価 2.6 3.6 3.8 3.0 3.4 3.0 4.2 2.6 2.9 2.3


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