滋賀県の取り組み

1999年05月01日

by 滋賀県知事 國松善次

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滋賀県に対し、首都機能移転に対する考え、東近江地域について、首都特別行政区について、びわこ空港について、交通網整備について、具体的なクラスター配置等について質問したところ、國松善次知事の自筆の署名入りの回答をいただくことができましたので、ご紹介します。(一部、私信的な内容をカットしてあります。)


 まず、首都機能移転についてですが、平成10年1月、国会等移転審議会において、本県東南部地域を含む「三重・畿央地域」が首都機能移転の候補地選定のための調査対象地域に選ばれましたことは、当地域が今後我が国の新しい歴史を開こうとする転換の舞台に立つとともに、国土全体に貢献する可能性が大きく開かれたということであり、本県にとっても将来の発展に向けた、またとない機会と受けとめています。

 首都機能の立地にあたっては、交通利便性や自然環境、水の豊かさなどが重要な要件となっていると思いますが、「三重・畿央地域」は、国土の中央部に位置し、交通利便性が高いこと、3つの国土軸が集中し、環日本海地域と環太平洋地域の結節点であること、近畿圏と中部圏の両大都市圏との連携が容易であること、また歴史的にも本県や近隣府県に都が置かれ、文化的な蓄積もあることや、さらに生態系の宝庫ともいえる琵琶湖などを有し、豊かな自然環境に恵まれていることなど、首都機能の移転先としてふさわしい条件を有するとともに、将来の日本の中心都市の機能を十分担いうる可能性をもった地域であると考えています。

 これまで本県においては、平成4年6月に県議会による首都機能移転の推進に係る意見書の採択をはじめとして、平成5年度以降シンポジウムの開催や広報紙・インターネットホームページによる広報啓発など、県民のみなさんに向け広く情報発信してきました。平成10年3月に本県において実施しました県民意識調査では、74.3%が関心をもち、57%が首都機能移転を望ましいとするなど、関心や期待の大きさが表れた結果となっており、今後ともあらゆる機会を通じて周知をはかり、様々な角度から議論を深めていきたいと考えています。

 また、国会等移転審議会より示された移転先候補地選定のための調査対象地域については、「三重、滋賀、京都、奈良の府県境付近に至る地域を中心とする地域」とされており、本県では、甲賀地域と東近江地域の両地域を一体として調査対象地域と考えています。新都については、当然、都市の規模も大きくなることから、広域的な連携の中で地域の特性を生かしたクラスター方式による新都の形成を提唱しており、多様な機能の分散的配置を検討している現段階においては、地域を限定しない方がよいのではないかと考えています。

 さらに、新都については、広域にわたって分散的に配置される場合や、一団のまとまった地域に建設される場合など、その規模や形態によって関係自治体に与える影響は変わってくるものと考えられますので、移転される首都機能の規模や形態が明らかになるに合わせ、必要に応じて特別の法制を考えていくのが現実的ではないかと考えています。その際、地域住民のみなさんや関係自治体の意見を十分に確認し、尊重したうえで、理解と協力を求めていくことが重要と考えています。

 これまで本県では、現地調査等あらゆる機会を通じ、当地域の特性を全国にアピールするとともに、本県が進めてきました環境施策等をもとに必要な意見を述べるなど国等に対して積極的な協力を行ってきたところですが、この与えられたチャンスをしっかりと受けとめ、今後とも関係府県と連携して新都市像についての検討など審議会への必要な協力を行っていくとともに、地域と一体となって「畿央地域」への移転に向けた取り組みを進めていきたいと考えています。

 次に、首都機能移転の基本的な基準には、新首都の都心部から概ね40分以内の位置に空港が必要とされていることから、新首都に最も近い空港となるびわこ空港の整備は、「三重・畿央地域」への首都機能移転の実現に大きな意味を持っていると考えています。

 滋賀県では、県内の主要地間を約1時間で結ぶことなどを目的とする「滋賀県総合交通ネットワーク構想」に基づいて、広域幹線交通体系の骨格となる道路整備に取り組んでいます。こうした道路網の整備により、隣接府県からのアクセスも充実するものと考えていますし、また空港計画が今後具体化していく中で、関係方面への働きかけにより、隣接府県にお住まいの皆さんにも、できるだけ利用していただきやすい空港となるように努めていきたいと考えています。

 こうした取り組みを進める中で、21世紀に輝く新しい滋賀を私たちの子や孫、さらにその先の世代へと引き縦いでいきたいと念願しています。

平成11年4月

滋賀県知事  國松善次


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